資料③加害少女の小説(?)

〜BR法 内容〜

BR(バトル・ロワイアル)法 内容

この国では毎年、 全国の中学3年生を対象に任意の50クラスを選び、国防上必要な戦闘シミュレーションと称する
殺人ゲーム、“プログラム”を行なっていた。 ゲームはクラスごとに実施、生徒たちは与えられた武器で互いに殺しあい、 最後に残った一人だけは家に帰ることができる。

ゲームの中に投げ込まれた少年、 少女たちは、 さまざまに行動する。 殺す者、 殺せない者、自殺をはかる者、 狂う者。仲間をつくる者、 孤独になる者。信じることができない者、 なお信じようとする者。愛する気持ちと不信の交錯、 そして流血・・・・・・・・・。

 昨日までのクラスメートと殺し合う。生きるためには殺さなければならない現実。誰もが生き残りたいと思っている以上、誰が自分を殺しても不思議ではないという現実。疑惑が疑惑を生み、猜疑心は自分以外の全ての者への殺戮となる。


☆フィクションです☆


(一部本書裏表紙より抜粋)




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BATTLE ROYALE ―囁き―




杉江真耶が愛媛県私立琴海学院中等部3年D組に転入する半年前だ――――

“聞いてるかー?大沢、樫木、杉江、川上、残り4人だぞー、先生応援してるからなー”
そしてぷつっと放送は途絶えた。
杉江真耶は茂みの中で息を殺し、銃を構えていた。
プログラム、真耶達は選ばれてしまったのだ。
だが、真耶はこのプログラムを生き残る自信がある。
女子でトップを誇る運動神経。
小学一年生から剣道を初めた(親が剣道場の師範だ)真耶は今では剣道で全国大会に出、3位にまで上りつめていた。小学一年生の時始めて着けた防具も今はなれ、竹刀を構えるのが日課と言ってもいいだろう。学校では真耶の剣道の実力、顔を知らない人はいない。テレビや雑誌にも少なからず出ている。(ある某雑誌のあなたの街のカワイ子ちゃんなどと題した特集で真耶は出たことがあった)
剣道の家系で生まれた真耶は県外にいる親戚にも顔をはっきり覚えてもらっている。
それに、残り4人にまで真耶が生き残ってきたのはもう一つある。
その、独特の風貌を思わせる美しさと言ってもいいだろう。
こげ茶色に少し赤のまじったロング。今はうざいから高い位置でポニーテールにしている。それに弓なりの細い眉にややつり目の円い目。赤毛に近い髪は父親似だろう。かすれた、だがユーモアのある声も父親に似ている。そして母親に似ている所は背が高い所だろうか。真耶は良い所ばかり遺伝でもらっている。父親が師範で母親が元モデル。何て家系だろうか、グレイト。
それに友達関係を大切にしてきた真耶は(まぁ、仲の良い友達はこのクラスにいないが、クラス替えの時に離れた。今は5月だ)男女問わず信頼を得ている。だからこのBRでは役に立った。
最初の真耶の支給武器は日本刀だったが(刀で剣道をやれと言うのだろうか?)今はそれを捨て、殺した級友の持っていた銃<イングラムMAC-10>のグリップを握っている。恐ろしいほど連射ができ、リロードも早いコンパクトなサブマシンガンだ。
真耶はグリップをぎゅっと握り締めた。
――――――もうすぐプログラムを終わらせてやる。
真耶のいる茂みの向かいで2人の男女が岩陰で銃撃戦をしている。真耶はその二人が見えるが、その二人は真耶が見えないようだ。ぱぱぱぱぱぱぱと銃声が鼓膜をやぶるような勢いで響いている。そう、残り4人のうち、3人が集まっている。(その一人が真耶だ)
真耶はこの銃撃戦に参戦しおうとはさらさら思っていない。銃撃戦で勝ち残った一人を撃ち殺すまでだ。
樫木健(かしき つよし)。
名前負けとはこういう事だろうか。“強い”という感じがしない科学部所属のネクラな男の子だ。今はもう一人の<女の子>と撃ち合いをしている。右の頬に土を塗りたくったようにべっとりと土が付いており、銀縁メガネの片側のレンズにひびが入っていた。
蒼白な顔の中に疲労による疲れがたまっているのが分かった。(もうこのプログラムが始まって3日がたとうとしている、真耶は一睡もしていない。別にヤワな体ではないのだが)背が低くてひょろっとした健はたまたまここまで生き残ってきたのだろう。(もしかしたらだが、やる気なのかもしれない)そして健の事、ばったりと今銃撃戦をしている<女の子>に会って、怖くて銃撃戦になるような事をしたのだろう。
川上瞳(かわかみ ひとみ)
樫木強と撃ち合いをしている女の子だ。155cmと背が低く、(真耶は中三で175cm)小柄でごくごくプレーンの可愛らしい女の子だ。医者の娘で委員長、ひっこみしあんの瞳は断りきれず委員長になったのは目に見えている。帰宅部で別に得意な所はなく、バイオリンを習っているらしい。(弾いている所を見たことはないが)黒髪をおだんごにして赤いリボンでくくっている。だが今、おだんごは乱れ顔は血の気が引き真っ青になっていた。瞳が使っているサブマシンガンは弾を次々に吐き出しながら鰻のように瞳の小さな手の中で暴れ続けていた。
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱ・・・・・・・二人の銃声が響いていた。
このプログラムは残り4人となったから、少し友達を殺しただけで自分は優勝できる、残り4人だから自分を殺そうとしている人がいてもおかしくないなどの疑念から二人は銃撃戦となってしまったのだろう。
「樫木、川上、殺し合いは止めろ!!」
突如人影が真耶の隠れている人陰から飛び込んできた。(真耶には気づいていないようだ。ラッキー)
「やめろーっ」
人影――大沢真弥は銃撃戦をしている樫木健と川上瞳に叫んだ。姿が丸見えになっている。いつ殺されてもおかしくないだろう。
―――――ばかじゃない?やめろ?そんな甘い考えは通用するはずないでしょう?
まぁ、これで残り4人の人達集まったというわけだ。だが川上瞳は怖さのあまり引き金を引いた。銃口の先には大沢真弥がいる。
「ぱぱぱぱぱ・・・・・・」
そしてそのフルオートの連射のあと、遅れて「うっ」という真弥のうめき声が聞こえた。正義感が人一倍強い大沢真弥の事、殺し合いを止められると思ったのだろう。なんてあまっちょろい考え。そして銃声が止んだ。
「あ・・・・・・」
大沢真弥殺した川上瞳はぽかんと口を開け、真弥の死体となった姿を見た。真弥の腹は何発もの弾にえぐられ、制服には赤いシミ――血を広げている。瞳は真弥を疑ってしまったため殺してしまった。だが間髪入れず樫木健は川上瞳に引き金を絞っている――――
「ぱん!」
瞳は健により頭に弾を撃ち込まれ、ばたっと横様にたおれた。
「あ・・・・・・・・」
健は思わず瞳を撃ってしまった。片方の割れたレンズの向こう青ざめている。健の体ががたがたと震えていた。
―――――ばかね。まだ“残り2人”よ。樫木君?
そして真耶はイングラムMAC−10を持ち上げ、樫木健に銃口を向けると引き金を引いた。
「ぱん!」
樫木健は頭に一発弾をくらい、川上瞳と同じ死に方で死んだ。健のひょろっとした体はどさっと横様に倒れた。なぜいきなり撃たれたのか解らなかっただろう。
――――終わった・・・・・・
真耶はふうっと息を漏らし、肩の力をぬくとイングラムMAC-10を下ろした。

真耶はこのプログラムを終えるまで“15人”級友を殺しまくった。
まずは行動を共にした6人の女友達を皆殺しにし、そこで大量の武器を手に入れた。そして茂みを移動中真耶なら信頼できると思ったらしい男女3名の生徒が近づいてきたが、返り討ちにした。そして2日目の朝となり茂みを移動中たまたま出くわした見張りの人一人、と眠っている人2人を殺した。そしてその時“やるきになっているらしい男子生徒”が斧で襲ってきて、真耶は日本刀で返り討ちにした。そして3日目の朝、たまたま窓ガラスが割れた民家に入った時一人の生徒を見つけ、日本刀でやった。そして昼1時の今、樫木健を殺し、優勝した。真耶は半分狂っているのかもしれない。

“―――――プログラム終了だぞー。杉江真耶さんスタート地点の分校に戻ってきて下さーいっ。お疲れ様〜〜〜〜。”
プログラム終了の放送が鳴り、真耶はディパックを肩にかけると分校に歩みを進めた。


そしてプログラム終了。杉江真耶は愛媛県私立琴海学園中等部3年D組で転校となる―――――。
そこでまた“プログラム”に巻き込まれるのだが。



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〇この物語はフィクションで、全て架空です〇

これゎ小説「バトルロワイアル」の外伝です。





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